元売、商社、販売業者の三方向から業界の問題点や方向性を公平な立場で解決するというコーナーです


販売業者にとっては、生き残りやすさがブランド価値


 業界紙の報道で、2012年3月末時点の元売り系列SS数が明らかになりました。全元売り合計2万6629件で、前年に比べて1289件減少しました。系列別ではJX日鉱日石エネルギーが1万1283件(△447件)、出光興産3861件(△136件)、昭和シェル石油3555件(△205件)、東燃ゼネラルグループ3475件(△298件)、コスモ石油3325件(△173件)、キグナス石油511件(△14件)、太陽石油349件(△8件)、三井石油270件(△8件)となっています。

▽SS生き残り率が高いキグナス、太陽
 燃料油需要が減少サイクルに入りつつあることを考えれば、SS数の減少は止むを得ないことと考えられますが、石油販売業者にしてみれば、SS数の減少は文字通りの自身の死活問題を表す数字です。そこで、系列SSが減少するという視点ではなく、SSの生き残り率が高い元売りはどこかを考えてみたいと思います。
 5年前の2008年3月末の元売り別SS数はJX(新日本石油、ジャパンエナジー、九州石油の合計)が1万4144件、出光4808件、昭和シェル4417件、東燃ゼネラルグループ(EM)4911件、コスモ4125件、キグナス568件、太陽362件、三井335件の合計3万3670件でした。今年3月末の数字と比較すると、5年間で20.9%(7041件)が減少したことになります。
 この間の系列別SS生き残り率は、JX79.8%、出光80.3%、昭和シェル80.5%、東燃ゼネラル70.8%、コスモ80.6%、キグナス90.0%、太陽96.4%、三井80.6%となり、EM時代の減少が大きかった東燃ゼネラル系が大幅に数を減らし、キグナス、太陽の生き残り率が高いという傾向がみえてきます。

▽販売業者SSの生き残りはJXが有利?
 系列SS数から元売り社有SSを除いた、販売業者SSの生き残り率は、JXが81.7%、出光80.2%、昭和シェル78.1%、東燃ゼネラル70.0%、コスモ79.3%、キグナス88.3%、太陽96.1%、三井75.9%となっています。
 系列全体に比べて、販売業者SSの生き残り率の方が1ポイント以上低い元売りは、三井(4.7ポイント)、昭和シェル(2.4ポイント)、キグナス(1.7ポイント)、コスモ(1.3ポイント)の4社です。この数字から判断すると、これらの系列では、一般販売業者が生き残りにくい分、社有SSで全体を補っているといえます。
 唯一、系列全体より、販売業者SSの生き残り率が高かったのはJXです。これは新日本石油、九州石油、ジャパンエナジーが統合していく過程で、商圏が重なる社有SSの統廃合が進んだ一方、旧新日石系を中心に資本力の強い特約店が多く、一般販売業者が根強く生き残っている結果だと推測されます。

▽販売業者が減らないブランドこそ評価されるべき
 もちろん、SS数の推移の背景には、減少だけではなく、増加も隠れており、こうした数字だけで販売業者が生き残りやすい元売りブランドを判断することはできません。ですが、余計な言い訳を排除して数字を単純化することで、見えて来るものがあるのも事実です。
 元売りのブランド価値とは、販売業者にとってみれば、その系列に属することでいかに生き残りやすいか−ということに尽きます。そうした点では、最近5年間の減少率が突出していた東燃ゼネラルが、昨年6月に従来の外資系から、体制を大きく変更した背景には、このままEM体制を継続したのでは、系列を維持できないという判断があったといえるでしょう。
 元売り側の効率化進展という論点だけで、SSの減少を論じるのは明らかに一方向的に過ぎます。本来、ブランド価値とは、自系列のSSを生き残らせるノウハウを意味するはずです。策のなさを棚に上げて、SS数を減らすことが効率化につながるという不可思議な流れに歯止めを掛けるためにも、SS数が減らない系列を“販売業者が生き残れるブランド”として、最大限に評価していくべきでしょう。


 
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