石油ネット業界事情の「今」を見つめる 石油ネット

政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。

―世相斬り−

キング

第 1 回

大新聞に物申す・消費者が受けた誤報による多大な迷惑

 

今月一日、読売、日経などが先行して報じたエクソンモービル九州地区400SS営業権の譲渡といった誤報が流れた。石油業界はもとより、一般消費者まで巻き込む大騒動に発展した。そもそもこの話は、エクソンモービル九州地区の社有20SSを売却するだけの話であり、同社が九州から撤退する、同様なことが他のエリアにも波及するという事実はない。

 

国内の石油業界を熟知していれば、エクソンモービルに限らず、石油元売りが代理店・特約店の意思を無視し勝手にエリアの営業権の譲渡や販売はできない。元来、元売りと特約店・代理店との間には長期間の契約が存在している。さらに、SSの土地、建物の権利形態は、土地、建物ともに元売り、土地は元売り、建物は特約店・代理店、土地、建物ともに特約店・代理店、土地は地主から借り、建物が元売り、あるいは特約店・代理店など、様々なケースがあるため、エリアのSS網を元売りの一存だけで営業権の売却、譲渡はできない。(WEBトピック十月二日付け既報)このような基本的な事さえ理解していれば、今回の誤報はなかっただろう。先走った大新聞の記者、それを容認したデスクの知識や見識を疑わざるを得ない。

 

今回の誤報によって混乱したのは石油業界関係者よりも、一般の消費者だった。九州エリアのエクソンモービル系SS利用者から、「自分の行きつけのガソリンスタンドはいつなくなるのか?」「洗車の回数券を購入したのですが大丈夫ですか?」といった内容。また十月一日の株式市場ではエクソンモービルグループ以外の一部石油元売りの株価が上昇した。数日後、筆者自身が大手タイヤメーカー広報部の方と話をする機会があった。石油業界とタイヤ業界とはガソリンスタンドを通して密接な関係にある。その広報という立場の企業内の情報のプロでさえ、筆者が否定するまで誤報を信じ、エクソンモービルの九州撤退を思い込んでいた。

 

日頃より、大新聞の記者は「消費者は知る権利」がある。企業が未決の話についてノーコメントを通すと、やれ秘密主義だ、隠ぺい体質と主張するが、今回の誤報により、混乱し迷惑を被ったのはまぎれもなく消費者である。大手メディアは多大なる影響力を持っている事を自覚し、「すっぱ抜き」だけを目的とした「さもしい記者魂」を捨てるべきだ。