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―世相斬り−

キング

第 7 回

浜岡停止は、一定の評価 賠償問題、電力値上げは最終手段

56日菅首相は浜岡原発の停止を中部電力に要請した。この決断に対し、静岡県の川勝知事は英断と称賛した一方、同原発が位置する御前崎市の関係者からは、原発の経済的な側面などを考慮すると、手放しに喜べない。との意見もでており、原発を受け入れることで何らかの形で支援を享受している自治体の問題点が浮き彫りとなった。


菅首相が決断した背景には、向こう30年の間にマグニチュード8クラスの東海大地震が発生する可能性が87%と極めて高い数値を示していることに加え、東日本大震災規模の津波が発生した場合、浜岡原発の防波堤では安全が確保できない。また、東京と大阪を結ぶ同エリアで放射線漏洩という事態に陥れば、日本国の崩壊へとつながる。従って、 今回の首相の決断には一定の評価を与えたい。

しかし残念ながら今回の決断には、近未来日本のエネルギー政策に対するビジョンが示されていないことから、数年後に防波堤が完成したのち、同原発の再稼働を懸念する声がすでに聞かれ始めている。また、御前崎市の財政が原発関連で支えられている現状を踏まえると、今後の地元経済にも大きな悪影響を与えるだろう。だが、原発ありきで地方自治体が運営されている現状にも問題があり、徐々にこうした依存体質から脱却する道を模索しなければならない。こうした原発依存型の地方自治体は御前崎市だけではなく、その他の原発を抱える自治体も同様だ。浜岡の停止要請は、あくまでも緊急避難的な措置であり、それと並行して、今後のエネルギー政策のビジョンを打ち出し、電力会社、経済界、国民に至るまで明確に示さなければならない。


一方、福島原発の賠償問題はこれから本格化されるが、財源として電気料金の値上げが画策されているが、利用者である国民は電力会社を選ぶこともできず、半ば強制的に東電や行政の不手際のツケを支払うことは絶対に回避しなければならない。多くの国民は原発事故で被害にあわれた方々に協力したい、という気持ちを持っている。だからこそ東電や官僚の心無い思惑には声を上げて反対しなければならない。電気料金の値上げはあくまでも最終手段である。


先日、東電が役員報酬50%、幹部社員30%、一般社員20%の報酬削減が発表されたが、これから支払う莫大な賠償金を試算すると、十分とは言えない。報酬削減でお茶を濁し、電気料金の値上げと税金投入で賄おうとしている魂胆が見え隠れしている。東電は報酬削減のほか、送電線網を含む資産売却、役員の個人資産売却、国有化による徹底的な無駄な経費の削減を実践しなければならない。国有化することにより株券が紙くずになり、おのずから株主の責任を追及できる。さらには、監督官庁である原子力保安院とその上部組織である経済産業省、族議員などの責任の明確化が必要。例えば、官僚や国会議員の報酬削減、議員の歳費削減、官僚が住む官舎の売却など・・・。これらを全て行った後、料金の値上げや税金投入の議論になるのが正道である。


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