石油ネット業界事情の「今」を見つめる 石油ネット

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―世相斬り−

キング

第 9 回

原発再稼働の安全宣言に騙されるな

海江田万里経済産業相は618日、各地の原子力発電所ではシビアアクシデント(過酷事故)対策が適切に取られているとし、原発を抱える地方自治体に対し再稼働を要請した。どのような安全対策が取られたか?については、その道の原発賛成派と反対派の専門家に議論してもらうのが適切なので、ここでは省略する。

国民の大多数は一向に収束しない福島原発の現状、事故後の東電や原子力保安院のメルトダウンや、放射線物質拡散の隠ぺいなどで、政府の発表を信用していない。いくら経産省や大臣が「安全宣言」を会見で行っても無意味だ。国民が納得する「安全宣言」とは福島原発の収束、周辺地域の放射線量の除去、さらには、福島県内をはじめとした各都県のホットポイントの線量が下がり正常な状況に戻すことが、何よりも国民の不安を払拭する唯一の手段ではないか!!

今言えることは、ひとたび原発事故が起きれば放射線物質は人間の手でコントロールできない厄介な代物ということだけだ。物事には事故が付き物というが、原発以外の事故は発生直後から人間の裁量で事態は好転する。しかし原発事故は発生から三カ月以上が経過した現在も、解決の糸口すら見えない。

この件で、大阪府の橋下知事が「そんなに安全なら海江田大臣や経産省の官僚が原発周辺に住めばいい。」と発言したが、その通りである。また橋下知事は関西電力からの節電要請に対し、根拠や必要なデータが明示されないことを理由に節電協力を拒否した。関西電力のような地域の独占企業が、府知事に対し必要なデータを公開しないということは言語道断である。一見橋下知事の対応は乱暴にも思えるが、電力不足で国民を脅かしながら原発推進やむなし、という間違った方向性に楔を打った発言を高く評価するとともに、その考え方を支持したい。

こうした電力会社の情報公開に対する消極的な姿勢を見ると、地域独占という現状を打破し、電力の発電、送電の分離など新しい供給体制を構築しなければならない。政局に没頭する国会議員、省益を最優先する官僚に期待できない昨今、橋下府知事のようにハッキリと国や一部の利益団体に対し、国民の意思を代弁できるような政治家が存在することがせめてもの救いだ。今後、原発を抱える道県の知事の対応に注目したい。

 

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