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―世相斬り−

キング

第 10 回

原発の是非論は国民投票を実施すべき

前回このコーナーで「原発の安全宣言に騙されるな」という記事を掲載したが、その後、舌の根も乾かぬうちに菅首相は「ストレステストの実施」を打ち出し、九州電力は玄海原発再稼働を推進させるため、一部社員並びに関連会社に原発賛成の趣旨を番組宛てに投稿するように指示した。いわゆる「やらせメール事件」が発覚。国民の信頼を大きく裏切った。いったいあの「安全宣言」はなんだったのか?やはり原発の是非論については、国民の意見が直接的に反映できる方法が必要だ。


福島第一原発の事故を受け、ユーロ圏の国々では脱原発への具体的な方向性が示されている。ドイツのメルケル政権は66日、遅くとも2022年までに国内17基のすべての原発を廃止するという方針を閣議決定した。イタリアでは事実上停止している原子力発電の再開の是非を問う国民投票が、61213日の両日で行われた。その結果、90%以上の原発反対票が賛成票を大きく上回り、原発再開を目指していたベルルスコーニ首相は同日、「イタリアは原発にさよならを言わなければならない」と述べ、再開を断念した。


 これらユーロ圏の主要国がエネルギー政策を転換したのは、まぎれもなく福島原発の事故に因るもので、当事国である日本は「脱原発」か「推進」という大きな方向性さえも曖昧なのが現状だ。これまで菅首相が近未来のエネルギーについて言及したことは「再生可能な自然エネルギーの促進」「原発の安全性をさらに高める」という二点。前者は震災前からCO2の削減という環境対策の一環として言われてきたこと。後者は既に原発を抱える国では当たり前のことだ。最近になり政局がらみで自然エネルギー法案が取りざたされているが、ほとんどの国民が菅首相の延命を目的としているのではないか?と疑念を抱いてしまう。同法案の内容は日本にとって重要であるがゆえに、政局がらみで扱われている現状は残念でならない。


まず脱原発か推進かの方向性を決定する手段として、国民投票を実施できる法的環境整備に着手すべきだ。原発問題は福島の事故によって、以前のように反対派は一部の左翼思想者だけではない。筆者を含め国民の多くは東電、経産省、族議員に加え、東電から何らかの支援を受けてきた族学者、東電から莫大な広告料を貰ってきたメディアなどが作り上げてきた虚偽の安全神話にだまされてきた。この問題は消費税、米軍基地、TPPなどの諸問題よりもはるかに重要なテーマで、ここで悔いのない正しい判断をしなければ後世の人々に対し、申し開きができない。


さらに、世界各国からも原発事故の当事国である日本が、今後の原発に対し、どのような方向性を示すのか注目されるだろう。従って、政局を優先する国会議員や省益を優先する官僚に判断させてはいけない。まして「やらせメールで偽りの世論を形成してまで原発を推進させる大手電力会社の思惑は絶対に阻止しなければならない。


仮に、原発の是非を問う国民投票への道筋がつけられれば、最近メディアで話題に上る原発解散などは必要ない。この時期の解散は被災地の復興のみならず、経済、外交などあらゆる案件を停滞させる懸念がある。被災者の方々、放射線物質の漏洩によって安心して子育てができない方々などの苦労を少しでも察する人としての心があるなら、国会議員や官僚は今こそ奮起し国家国民のために邁進し、原発の是非を問う国民投票への道筋をつけてもらいたい。



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