石油ネット業界事情の「今」を見つめる 石油ネット

 政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。

―世相斬り−

キング

第 14 回

TPPは国内問題!

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の参加をめぐる議論は、与野党問わず国論を二分するような様相を呈している。推進派、慎重派ともに互いの立場によって主張が異なっているが、双方の言い分はそれなりに正論であり、経済団体、JA、医師会など、各業界の利益に直結するため、議論が交わらず妥協点を見いだせないのが現状だ。


対立点のひとつを紹介すると、慎重派は農業分野でTPP参加国のアメリカ、オーストラリアに比べ日本は、農業の大規模化を積極的に推進しても国土や農地が狭く、効率化には限界があり、農作物の関税撤廃は自国の農業を衰退させ、食糧自給率のさらなる低下を招く‐と主張。一方、推進派はこれだけ国の財政が厳しくなり、ウォーキングプアと呼ばれる年収200万円以下の人々が急増している現在、農業を保護するよりも関税を撤廃し国民により安い食糧(食料)を提供すべき。農業に携わる者だけが保護されるのは不公平だ。さらに関税を撤廃し自由貿易を推進することで、輸出産業は活気を取り戻す可能性もある‐と主張している。


上記のように問題点を精査すると、TPPは国際問題というより国内問題であり、既得権益の存続か?廃止か?という側面も加わり、国民の信任を受けていない野田内閣だけで参加の有無を判断するのは、あまりにも拙速だ。まず政府は日本国の中・長期的なビジョンを披露した上で、TPP交渉で日本が他の参加国に対し、何を守り、何を捨てるのかを決定し、守る項目について優先順位をつけ、国民に発表することが大前提だ。情報公開も不十分なまま中途半端な議論で、TPPの参加を表明するのは、慎重派の中に多数存在するTPP賛成派の賛同も得られないだろう。迅速にTPPによる消費者のメリット、デメリット、守るべき項目の優先順位を公開し、国民的な議論が展開できる環境を整備してもらいたい。


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