石油ネット業界事情の「今」を見つめる 石油ネット

 政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。

―世相斬り−

キング

第 17 回

東電再生よりも被害者救済と今後の電気エネルギーの方向性が重要


国有化に向けた国と東電の攻防が激化してきた。枝野経産相は「議決権の確保ができないまま、資本注入を認定するつもりはない。経営権の掌握、経営責任の明確化、経営の合理化加速、事業再編、電気料金のコスト見直しをした上で4月から平均17%値上げの抑制など、5つの条件と資本注入はパッケージだ」との見解を表明。これに対し、東電の西澤社長は「民営のままが望ましい」と主張。さらに経団連の米倉会長は一連の枝野経産相の発言に対し「本当にどうなのか?今まで国有化して再生した企業はあるのか?」と東電を擁護した。

昨年に東電を破綻させなかったのは、東電を再生させることが目的ではなく、放射線物質で汚染された地域を除染したり、被害者に対する損害賠償を行ったりするため、と多くの国民は認識している。従って、西澤社長は発言する資格もなく、米倉会長の東電擁護発言は福島原発の被害者をはじめ国民の支持は得られないばかりか、経団連に所属する企業全体に対し、国民の不信感が増大する。

そもそも東電とは健全な民営企業なのか?答えはNOである。競争相手のいない地域独占という恩恵にあずかりながら、全てのコストを積み上げ、それに一定の利益を上乗せし、電気料金を決定する総括原価方式を採用している2点をみても、健全な民営企業とはいえない。これは東電だけではなく、他地域の大手電力各社にも同様なことがいえる。さらに、国民に対し節電を呼びかけた際、地方自治体の長が要望したデータの開示も速やかにできていない。地域独占や総括原価方式といった都合の良い特権は堅持し、データの開示など都合の悪いときは、企業秘密だと民間企業を装う身勝手なご都合主義に国民は嫌気がさしている。

失政続きの現政権にしては、今回の枝野経産相の主張は筋論であり、東電並びに経団連を敵に回しても強気な姿勢を貫いてもらいたい。早急に実質的な公的管理を実践し、東電の送電網を国有化した上で、いわゆる発送電分離を推進し、新たな事業者の参入できる環境を整えてもらいたい。さらに、原発の是非論も含め、日本おける近未来のエネルギー像を示してもらいたい。


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