政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。

目先の原発の再稼働よりも、近未来の電力ビジョンが重要

 ゴールデンウィーク中の5月5日、国内で唯一稼働している北海道電力泊原発3号機が定期検査のため停止、これで42年ぶりに国内で稼働する全ての原発が停止した。一方、関西電力大飯原発の再稼働は大阪、京都、滋賀など関西圏の知事、マスコミ、国民の理解が得られていないのが現状だ。

 

 一連の再稼働の議論で、原発の再稼働は需給とリンクさせてはいけない。原子力規制庁が発足していない。ストレステストの信憑性。専門家でもない野田総理をはじめ4人の閣僚が再稼働に対する決定権を持つことの妥当性。今夏の電力需給など様々な論点があげられている。これらの論点も重要だが、その大前提となる日本の近未来の電力供給に対するビジョンが明確に示されていないのが一番の問題点だ。国会はもとより、国民あげての活発な議論が行われるべき懸案事項で、こうした本質の議論が国会で行われないのは、民主、自民という二大政党の大多数の議員が原発に対する議論を避けているようにもみえる。(自民党の衆議院議員河野太郎氏のような例外の方々もいる)まず、昨年福島原発で事故を起こした当事国として、早急に議論をはじめ、一定の結論を出すべきだ。電力需給の近未来のビジョンが示されないまま、電力会社の思惑通りに再稼働が進む事態は避けなければならない。仮に再稼働する場合、いつまでに原発を廃止するという期限を切った上で、再生可能な自然エネルギー発電、二酸化炭素排出が少ない火力発電などの準備が整うまでの間、短期的な電力不足を補うため、原発を再稼働させる−ということであれば、まだ国民の理解は得られるだろう。将来のビジョンが示されていない現状での再稼働は、原発推進派の一部でさえ納得ができないのではないか。

 

 大飯原発の再稼働を推進したい関西電力は先月、関西圏における今夏の需給見通しがマイナス16.3%(後に15%に修正)と発表。各メディアの報道によると、昨年の東電管内に比べ節電効果を意図的に少なくしている。他の電力会社からの電力の融通が可能−など発表の中身について疑問符がついている。これら報道で最も合点がいかないのは、国と関西電力との主張に微妙な違いがある。国の主張は電力不足による国民生活の不安、自家発電機能を備えられない中小企業の工場運営などを不安視している。関電は国の主張に加え、原発を稼働させなければ原発設備そのものが無用の長物になり、資産価値が著しく低下する−という電力会社の財務的な事情もあるようだ。電力不足にかこつけて、関電が自社を防衛することは地域独占を許されている公益性の高い企業が進むべき道ではない。こうした懸念が少しでもあれば、電力の完全自由化や発送電分離の議論を積極的に進めなければならない。

 

 さらに5月8日に東京電力は今年7月以降、家庭向け電気料金の10・3%前後の値上げ方針を固めた。公的資金という名の税金の注入に加え、料金の値上げのダブルパンチ。これでは国民の理解は絶対に得られない。一日も早く国民が電力会社を選べる体制を構築することが急務だ。

 


バックナンバー19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1



会社案内個人情報著作権リンクポリシーお問い合わせ
本ページに記載の記事・写真などの無断転載を一切禁じます。
著作権は泣}ジカルネットワークまたはその情報提供者に帰属します。

Copyright (C); 2012,
Magical Network Inc. All Rights Reserved.