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TPP交渉参加を参議院選前に決断、経済以外の効果の可能性


 安倍首相は3月15日、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加することを正式に表明した。これに対し、各界の反応は日本商工会議所など、大勢の経済団体は「歓迎ムード」、一方、JA全中(全国農業協同組合中央会)、日本医師会などは反対の姿勢を貫いている。最近行われた大手新聞社の世論調査によると、TPP交渉参加について各紙とも60%〜70%(一部の調査では80%以上)が「支持する」と回答している。また政府はTPPに日本が参加した場合、実質GDP(国内総生産)を全体で3.2兆円押し上げる効果がある。マイナス面では、関税が撤廃されることで、農林水産品の生産額が3兆円減少する−などの試算も公表した。

 TPPの賛否の議論は反対姿勢を明確しているJAや医師会が本当に国益にマイナスなので主張しているのか?業界が恩恵を受けている既得権益を守りたいだけなのか?経済の専門家の意見も二分されており、交渉参加をしていない現段階では、日本の国益にプラスか?マイナスか?という結論をだすには時期尚早だ。

  政府のTPP交渉参加の判断で注目すべき点はふたつある。今までの自民党政権であれば、自民党の大票田であるJA,医師会などが反対する政策を、夏場の参議院選挙を目前に控えた時期に交渉参加を表明した点だ。貿易立国である日本の将来にとって、「交渉参加を決断する最後のチャンス」である−という素直な解釈と、「TPPを日本に参加させたい。というアメリカの思惑」に屈した−という見方だ。どちらにしても日本国民にとって有益であればよいと思う。もう一つは、政府首脳がTPPという経済自由貿易圏を作りながら、環太平洋や東アジアの安定を目指す−という発言をよく耳にする。いわばTPPは経済問題という枠組みを超えて、安全保障という領域に踏み込んでいるのでは−とも解釈できる。最近の中国の尖閣問題をはじめ領土・領海に対する挑発的な方針をみると、日本はアメリカとの関係をさらに深めながら、既にTPP参加を表明し、中国との領土問題を抱えるベトナム・マレーシア・ブルネイとの連携も視野に活動すれば、経済分野以外の副産物も獲得できる可能性もある。

 TPP交渉参加の決断は、内閣支持率の高い安倍政権だからできた。支持率が低ければ、自民党内のTPP反対派を抑えることはできなかっただろう。いずれにしろ内閣支持率が高い時でなければ、既得権益を守ろうとする族議員とは戦えない。安倍首相が高支持率を背景にして、一部業界や団体ではなく、国民全体、未来の日本のために政策を遂行してほしい。

 

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