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GW期間の閣僚外遊を評価
高支持率の安倍内閣に既得権益の打破を期待


 5月13日朝方の外国為替市場で円の対ドル相場が午前8時すぎに1ドル=102円台に下落した。2008年10月以来、約4年7カ月ぶりの円安ドル高水準を示した。同日午前の日経平均株価は14800円を超える展開となっている。これら円安・株高傾向は、アベノミクスによる金融緩和とアメリカの経済指標の改善が原因と分析される。

 この影響で輸出産業を主とした大企業、個人投資家などは多大な恩恵を享受している。一方、エネルギー、食品など主に原材料の価格が高騰し、外食産業など輸入の依存度の高い商売は、大多数の消費者の所得が向上していない現在、原材料のコスト上昇分を販売価格に転嫁できないのが現状だ。最近の各種世論調査をみると、70%超が景気回復の実感がない、20%前後が実感ある−と回答しており、アベノミクスの効果は今のところ限定的である。

 このため第三の矢と呼ばれる成長戦略に期待が寄せられている。ゴールデンウィーク期間中、安倍内閣の閣僚18人中11人が外遊に出かけており、安倍首相自らもトップセールスとして、ロシア、トルコ、サウジアラビア、UAEを訪問、多くの経済人を同行させ、日本産品や技術、医療施設や、都市インフラ、原発などを積極的に売り込んだ。原発の是非論は別にして、トルコの原発受注という結果も残している。今回の外遊は一定以上の評価ができるが、これらの恩恵を受ける業界は輸出業界に限定されている。確かに日本国は人口減少などの要因で、経済の立て直しを実践するにあたって、外需を取り込む以外方法はないことは理解できる。しかし内需型の産業や国民生活にとって、所得が上がらないまま物価が上がり、さらに消費税増税までも実施されると、国民のアベノミクスに対する信頼は低下するだろう。何らかの形で内需型企業や一般国民(特に低所得者)に対する救済措置は必要だ。

 何はともあれスタートしたアベノミクスを今更後戻りはできない。今後、国内の成長戦略についても積極的に着手し、特に規制緩和を推進させることで「既得権益の打破」は必要不可欠。農業、電力、医療など自民党の支持基盤にメスを入れ、国内世論を二分するような難問に挑戦してもらいたい。1980年代から始まった規制緩和によって、自由化が推進された業界とそうでない業界とでは日常業務の苦労が雲泥の差。もちろん収益構造についても、主に新興勢力などの安売りにより業界全体のマージンは低下。多くの中小・零細企業にとって経費削減といった企業努力では賄いきれない状況に陥っている。既に規制緩和が実施された業界にとって、いまだに既得権益に守られている業界に対し、不公平感を持つのは当然のこと。こうした不公平感を一掃しない限り、国家や政治家に対する不信感は払拭できない。現在、70%前後の高い内閣支持率を確保する安倍政権であれば、党内の族議員に負けることなく、規制緩和や既得権益の打破を実践できる可能性はある。全ての業界が公平な土俵で勝負できる環境整備に期待したい。

 

 

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