政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。

夏の参院選を前に第二弾

 

規制緩和の敵は自民党内にあり、
政党や候補者の裏側を見抜け

 

参院選公示から10日が経過した。自民党はこれまで半年間のアベノミクスの経済効果を前面に押し出しアピールしている。確かに円安誘導により輸出企業はメリットを享受。株価も上昇し一定の評価を得た。しかし三本の矢で最も重要視されている成長戦略については、先月の発表直後から株価は大幅に下落した。市場が成長戦略を評価しなかったのは、規制緩和について具体性に欠けていた点だ。これまで異次元の金融政策を実践したが、肝心の成長戦略は異次元の戦略ではなく、これまでの歴代内閣と同様な内容にとどまったことが原因−と分析される。やはり医療、農業、電力といった既得権益の象徴に対する切込みが不十分だったといえる。法人税の引き下げ、独立した社外取締役の設置、混合診療の全面解禁、株式会社の農地所有など、国論を二分するような規制緩和を掲げなければ、異次元の金融緩和と同等のインパクトは与えられない。

 法人税の引き下げは財務省の抵抗と伝えられているが、それ以外の分野は医師会、農業団体、経済団体など既存の大組織が反対した。やはり何らかの形で既得権益の傘の下にいる輩は、自分たちあるいは業界団体を必死で守ろうとしている。アベノミクスの成功のカギを握る規制緩和が中途半端な内容では、マーケットが失望するだけではなく、数年先に期待されている所得の上昇も危うくなり、国民には失望感しか残らない不安な結末が懸念される。安倍政権が今一つ規制緩和に踏み込めない理由は、既得権益の傘の下にいる業界の多くは自民党の票田であり、選挙前に大胆な規制緩和を訴えられない事情がここにある。日本維新の会やみんなの党の幹部が「自民党には大胆な規制緩和や既得権の打破はできない」と言い切るのはこうした事情があるからだ。健全な資本主義経済とは時の流れと共に退場する企業、団体、業界があり、大胆な規制緩和によって、新たな業界が生まれ成長し、新しく入場する企業、団体などによって活性化され、世界が認める日本経済の復活に結び付くのではないか。

 「国会のねじれ」が政策の全ての進行を遅くするというのが政権与党の主張だが、既得権益の打破については現政権に安定多数を与えるよりも、既得権益の打破を明確にしている政党に一定以上の影響力を行使できる議席数を与えることが近道なのかもしれない。各メディアの事前調査では自民圧勝と伝えられており、仮にその通りの結果になった場合、安倍内閣の経済対策とりわけ成長戦略の阻害要因は、野党よりも自民党内の族議員である可能性が高い。仮に、衆参のねじれが解消できたとしても、自民党内で政策のねじれが生じ、肝心の規制緩和が族議員と官僚の手で骨抜きになれば成長戦略は失敗に結び付く。何はともあれスタートしたアベノミクスは後戻りすることは容易ではない。三本の矢の中でも最も重要な位置づけをされている成長戦略は規制緩和とセットである。参院選挙後の経済政策をよりプラスの方向に導くためにも、大政党の矛盾点を吟味しながら、少数政党の主張にも耳を傾ける必要がある。

今回の参院選の争点は経済だけではなく、社会保障、原発を含めたエネルギー問題、外交、憲法など、多種多様である。例えば、アベノミクスには期待するが、憲法改正や原発の再稼働には反対という有権者はどの政党に投票すればいいのか?自分自身が定める政策の優先順位と各党と候補者の主張を照らし合わせて判断しなければならない。政党や候補者がメディアや街頭演説で主張する表側の政策も重要だが、どの政党や候補者も積極的にアピールしない裏側の政策を有権者が見抜くことがより重要である。政党数が多く争点も幅広いため、有権者は様々な分野を考慮し投票をしなければならない。

 

 

 

 

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