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小泉元首相の原発ゼロ発言で波紋広がる 


今後のエネルギー政策を明確にするための議論が必要 

 

小泉純一郎元首相が10月16日、千葉県木更津市で講演し、「日本は原発ゼロでも十分に成長できる」という趣旨の発言をした。この発言を複数のメディアが取り上げ、政界・関係者は勿論、一般の国民にまで波紋を広げた。昨年の政権交代以降、世の中の関心はアベノミクス一色となり、原発の今後を含めた日本のエネルギーの将来像について、活発な議論が行われていなかった。小泉元首相の発言によって、これらの議論が再開されることは歓迎すべきだ。


 小泉元首相の原発ゼロ発言に対し、社民党の吉田党首、みんなの党渡辺代表、生活の党小沢代表、共産党の志位委員長など野党各党の党首は、それぞれの言葉で歓迎している。小泉元首相の古巣である自民党幹部や政権の中枢にいる閣僚の発言は、「原発ゼロは無責任」という趣旨の発言しか聞こえてこない。これに対し、小泉元首相は「核廃棄物の最終処分場など、いわゆる核のゴミについて何も決まっていない現状で原発を推進することは無責任。現に東日本大震災以降、稼働した原発はわずかでも、電気は供給されている」と主張。こうした小泉発言は国民にとってわかりやすい。一方、安倍首相の発言は「エネルギーコスト低減の観点を含め、国として責任あるエネルギー政策を構築してまいります。原子力の比率は可能なかぎり引き下げてまいります」と抽象的な表現にとどまり、国民の多くが疑問視する「原発のコストに多額の賠償費が含まれているか?」などの具体的な説明がない。


何はともあれ小泉氏の発言によって、原発の是非論を含めた未来のエネルギー問題が国会やメディアで活発に議論される環境が整ってきた。野党各党が小泉氏の発言以前から、原発ゼロを主張してきたので、今後も続けることは当然としても、自民党内の原発消極派も積極的に自らの主張をすべきだと思う。安倍内閣の支持率が高い状況下、執行部と異なる意見を貫くことは容易ではないが、日本国の将来のために勇気を出してほしい。現政権が国民に対し、納得できる説明がないまま、なし崩し的に原発を推進した場合、多くの国民の疑問は深まるだろう。こうした国民の疑問を払拭するため、安倍首相は小泉元首相のような国民にとってわかりやすい言葉で明確な説明をしなければならない。


安倍首相は原発再稼働や海外への輸出に積極的な姿勢をみせている。現に首相自らのトップセールスが功を奏し、三菱重工などの企業がトルコへの原発輸出を決定した。経済的にはプラスだが、その一方で解決の糸口さえ見えない福島の汚染水問題が現実として存在する。今後、安倍内閣は汚染水問題をはじめとした原発事故の処理、最終処分場の選定に加え、将来のエネルギー政策を明確にすべき時期がきている。

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