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日米同盟強化に一定以上の評価


遅れる安保法制の国内議論、沖縄基地問題の動向に注視



 自民・公明両党は5月11日、安全保障法制の整備に向けた協議を開き、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを盛り込んだ関連法案に合意。政府は14日に関連法案を閣議決定した後、国会に提出する。これで安倍首相が先ごろ訪米し米国議会で演説した日米同盟の強化、今夏までに安保法制を整備するという約束に向けて動きだした。


 一連の日米同盟強化、安保法制の整備はアジアにおける中国の軍事的脅威が増大していることを考慮すると、一定以上の評価ができる。現に中国は日本固有の領土である東シナ海の尖閣諸島だけではなく、領有権を主張する南シナ海の南沙諸島ではサンゴ礁に浮かぶ岩礁の埋め立て工事を強行。同じく南沙諸島で領有権を主張するフィリピン・ベトナムなどの各国が警戒感を強めている。世界で一番の軍事力を保持する米国との同盟関係を強化することは日本周辺の中国の不穏な動き、朝鮮半島有事に対し、抑止力という観点からも有益である。


 一方、米国の防衛政策の一部を肩代わりし地球規模での連携を打ち出したということは、米国に対し敵意を持つISなどの過激派から日本人が標的にされる可能性は以前よりも強まっている。特に中東、アフリカといった紛争地域で仕事をする邦人ビジネスマンにとっては、危険と背中合わせでいる−という自覚を常に持たなければならない。さらに紛争地域に出先機関を持つ日本法人はPMC(民間軍事会社)の活用を真剣に考えなければならない時期が到来している。(石油ネット、The POINT日本の海外における危機管理の現状と対策 松本利秋氏著を参照


安保法制の整備について日本国内では、まだまだ議論が熟していない現実もある。多くの国民が「どのようなケースで集団的自衛権の行使が可能なのか?」という疑問を抱えている。今後、国会論戦で各野党から具体的な事例など与党にとって都合の悪い質疑に対し、真摯にこたえる義務がある。政府与党は野党からの質疑を国民からの質問だと思い説明しなければならない。特に、この問題は憲法に関わる重要案件であり、今国会さえ乗り切れば良い−という性質のものではない。今後、安倍政権が憲法九条も含め憲法改正を行うのであれば、現状以上の国民の理解度を深める必要がある。


 これに加え沖縄普天間基地の辺野古移設問題については、政府と沖縄県の主張は互いに平行線で議論が交わる状況ではない。沖縄県民の直近の民意は先の衆院選小選挙区での与党候補敗北の結果や沖縄県知事選挙で翁長雄志氏の当選で証明されている。政府が強行的に基地移設を進めれば進めるほど、沖縄県の民意との溝が深まることは明白だ。


 いずれにしても安保法制にまつわる国内の諸問題に対し、中国の脅威を背景にした日米同盟強化の必要性、かつての英国のように米国主導の武力行使に全て付き合うのか?米国に対しケースバイケースでNOと言えるのか?といった国民の疑問に答える必要がある。集団的自衛権の行使に必要な新3要件だけでは不十分である。今後、国会の議論と沖縄基地問題の動向に注視したい。



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