政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。


いったい昨年12月の総選挙は何だったのか?



「こんなはずではなかった」というのが国民の本音



安保法制の衆院での強行採決、新国立競技場ゼロベースでの見直しに伴う責任の所在、戦後70年談話、鹿児島県の川内原発の再稼働など、安倍政権にとって強烈な逆風が吹き始めた夏と言えよう。これまで安定していた内閣支持率も低迷し、各大手メディアの世論調査によると、支持率37%〜43%、不支持率は42%〜52%各調査とも不支持率が支持率を上回っている。


 一方、内閣府が発表した2015年4月〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比マイナス0.4%、年率換算ではマイナス1.6%のマイナス成長を示した。この理由として、個人消費の冷え込み、輸出の鈍化、円安による輸入品(主に食品)などの値上げ、物価上昇に対して賃金の伸びが追いついていない−などが挙げられており、アベノミクスのメッキが剥がれたといっても過言ではない。


 こうした現状に対し、多くの国民は「経済政策は支持したが、集団的自衛権の行使を含めた安全保障に対し白紙委任状を与えた覚えはない」、「今回の安保法制に関わる失態で憲法改正が遠のいた」、「一連の新国立競技場建設のずさんな対応を見ると、無駄な公共事業と一部の既得権益者のための自民党で一昔前と同じだ」、「アベノミクスによる景気浮揚は一部の富裕層だけが恩恵を受け、庶民には円安による物価高の方が深刻だ」など様々な不満の声が聞こえてくる。総じて国民は「こんなはずではなかった」というのが本音だろう。


 思い起こせば昨年11月21日、安倍首相は衆院を解散し翌12月に総選挙を実施した。当時、年末の忙しい時期に「何を問う選挙なのか?」、「大義なき解散だ!」など解散総選挙実施に対する疑問の声も多々あった。(同コーナー2014年11月19日付け参照)前回選挙の論点は安全保障関連よりもアベノミクスの信任投票という側面が強く、結果を判断するには時期尚早であったアベノミクスへの期待感と、野党各党の不甲斐なさによって政権与党を大勝利に導いた。今から思えばアベノミクスの期待感があるうちに総選挙を行い与党が絶対安定多数の議席を確保した上で、原発再稼働や安保法制を進める−という確信犯的な国民を欺く戦術にも受け取れる。


本来であれば、安保法制の必要性や原発再稼働といった世論を二分するような案件に対し、国民に真意を問う−というのが筋論である。これらに加え、アベノミクスの進捗状況、度重なる自民党議員の不適切な発言など、有権者側から見れば今まさに国政に対し一票を投じる総選挙の時期である。しかし、衆院選は安倍首相が解散を決断しない限り、三年以上は行われない。現在、各地の有権者が安倍政権に対する不満や不信感が強まっている。安保法制・原発再稼働、アベノミクスなどの政策に疑問を持つ国民は来夏の参院選、次回の衆院選で各々の思いや国の将来像を踏まえながら、必ず投票所へ足を運んでもらいたい。



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2015年7月21日 安保関連法案衆院を通過 議論が深まるとともに安倍政権の支持率下がる
2015年6月16日 安保法制国会が空転 大多数の憲法学者が違憲と判断
2015年5月16日 日米同盟強化に一定以上の評価 遅れる安保法制の国内議論、沖縄基地問題の動向に注視
2015年4月15日 維新の党は上西議員をスピード処分 統一地方選の影響は最小限
2015年3月15日 国民は「政治とカネ」の問題にウンザリ 迅速に企業・団体献金の全面禁止を
2015年2月15日 政府主導により農協60年ぶりの改革 税制優遇など多々残る問題点
2014年1月23日 岡田民主党の執行部人事決定 真の改革政党を目指すか、そうでないか方針を示せ
2014年12月19日 衆院選は52%の低投票率で自公大勝 与党の補完勢力と思われる野党は敗北
2014年11月19日 21日衆院解散・消費税増税は延期 「大義なき解散」でも国民は投票行動を
2014年11月11日 金融緩和第二弾で円安・株高が進行 アベノミクスのリスタート
2014年10月14日 アベノミクスで恩恵を受ける人・受けない人 円安為替マジックに騙されるな
2014年9月14日 4月〜6月期GDP年率換算7.1%減 個人消費に暗雲どうなる消費税の再増税
2014年8月16日 朝日新聞の「慰安婦検証記事」で波紋 記者会見開催は最低限の責務
2014年7月12日 地方議員のレベル低下に愕然 報酬、活動費など抜本的な改革が必要
2014年6月12日  維新分党「野党再編」の一歩 「既得権益打破」の新党に期待
2014年5月17日 「集団的自衛権の行使」容認に対する様々な論点 国民の理解度と法的整合性を高めることが必要
2014年4月10日 増税は実施されたが…これまでの約束は守られたか?
2014年3月13日 大手企業のベースアップ相次ぐ 景気好循環の鍵は今後の消費動向
2014年2月24日 消費税増税前に外税方式を散見 外税は円滑な増税転嫁と納税意識の向上に一役
2014年1月22日 細川元首相が都議選に立候補を表明 原発ゼロの元首相コンビに吹き始めた無党派の風
2014年1月1日 2014年本格的な景気回復への課題
2013年12月8日 特定秘密保護法の強行採決は巨大与党の驕り
2013年11月9日 小泉元首相の原発ゼロ発言で波紋広がる
2013年10月7日 米国発債務上限引き上げ問題が各国市場に飛び火
2013年9月16日 東京オリンピック開催決定浮かれるだけではなく懸念材料にも注視すべき
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2013年6月8日 アベノミクスから安倍バブルに名称がかわるのはいつ頃か 株式市場は
2013年5月10日 GW期間の閣僚外遊を評価、高支持率の安倍内閣に既得権益の打破を期待
2013年4月25日 えっ、消費税還元セール禁止?消費者は安値を支持、デフレ脱却は遠い道のり
2013年3月23日 TPP交渉参加を参議院選前に決断、経済以外の効果の可能性
2013年2月17日 アベノミクスに対し一定の評価と限界
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