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違憲性が極めて高い安保法案が強行採決

反対する国民は来夏の参院選でリベンジ

 

安全保障関連法案が19日未明、参院本会議で自民党など与党の賛成多数で可決された。

同法案は大多数の憲法学者が違憲との見解を示した上、元最高裁長官の山口繁氏、元最高裁判事の濱田邦夫氏、元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏、阪田雅裕氏ら法的分野の専門家に加え、ノーヴェル賞受賞者、芸能人なども今回の安保法制に反対を表明。さらには国会議事堂前並びに全国各地で自発的にデモへ参加する学生、主婦、会社員など一般人も声を上げた。勿論、野党各党の国会議員も同法案を廃案にするため、国会であらゆる戦術を行ったが、与党は数の力に物を言わせ採決を強行した。

 今国会は議論が進むにつれ、当初、安倍首相が集団的自衛権行使の具体例として説明したホルムズ海峡での機雷掃海については、首相自ら「現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として発生することを具体的に想定していない」と答弁。もうひとつの代表的な事例として、安倍首相が再三強調してきた邦人輸送中の米艦船の防護について、中谷防衛相は「邦人が乗っているかは絶対的なものではない」と答弁。邦人保護が行使の理由にならないことを認めた。このように二つの具体例の本質が国会の序盤と終盤では変化している様を見ると、国民の理解が得られないことは当然である。一連の議論で明確になったのは、安保関連法案の一部は違憲であるという事だ。

 しかし数の力だけで同法案を可決したという現実がある。与党が提出した法案や具体例に不備があっても、野党がいくら反対しても、各地でデモが盛り上がり、一般国民が反対の声を上げても与党は立ち止まらず同法案を成立させた。やはりこの結末は昨年の衆院選で与党が大勝した時から安倍首相の腹は決まっていたのだ。アベノミクスを全面に押し出し、経済が最重要事項と国民を安心させ、憲法解釈を変えるだけで集団的自衛権行使を可能としたのは姑息なやり方だ。今後の選挙における自民党の政権公約については、本音と建前を有権者は見極めなければならない。敢えて安倍政権ではなく自民党と記したのは、違憲性の極めて高い重要法案が審議されているにも関わらず、他の自民党議員が反対意見を述べることはなかった。一昔前の自民党は懐が深く、多種多様な意見を幅広く吸い上げ政策に反映させる良さがあった。しかし安倍政権発足後はその良さが全く感じられない。さらに、先の自民党総裁選は野田聖子氏が立候補を模索したものの、推薦人の20名を集められずに断念。結果的には無投票再選となった事も象徴的な出来事の一つだ。

 同法案成立後、与党議員は口を揃えて国民に対し説明する−という趣旨の発言をしているが、こうした説明は法案成立前に行わなければならない。今回のように国民の理解が得られてはいない現状では、継続審議という方法もあった。一方、法案に反対した野党議員は「立憲主義を取り戻す、来夏の参院選でリベンジ」といった趣旨の主張をしている。次回の国政選挙は来夏の参議院選挙である。この選挙までに野党各党が再編を含め、どういう枠組みで投票の受け皿を作るのか?共産党と他の野党の選挙協力がどこまで進むのか?今国会を通じて、政治に興味を持った若者や立憲主義の尊さや憲法の重要性を再認識した国民がどのような投票行動を取るのか?注目したい。



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