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安倍政権臨時国会見送りを決定



重要案件をなぜ審議・説明しないのか?


 

11月12日、安倍首相と自民党の谷垣幹事長は首相官邸で会談し、秋の臨時国会の召集を見送ることを最終決定した。政権与党は今回の召集見送りは安倍首相の外交日程が立て込んでいる−と説明している。これに対し野党各党(民主・維新・共産・社民・生活)は憲法53条に基づき、臨時国会を開かないのは「憲法違反」と主張。改めて臨時国会召集を求めていく方針だ。


 「憲法違反」というワードを耳にすると、先の国会で安保法制を強行採決した事を思い出す。その際、安倍首相を筆頭に与党幹部は「安保法制に対する国民の理解は必ずしも進んでいない。今後、丁寧に説明する」という趣旨の発言を繰り返していた。それであれば臨時国会を招集し、憲法違反の疑いが極めて強い安保法制を丁寧に説明することで、今回の安保法制を違憲と主張する憲法学者を納得させ、国民の不安を払拭すべきだ。さらに、沖縄県の翁長知事が辺野古の埋め立て承認を取り消したことに対し、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき国交省に審査請求と執行停止を申し立てた。しかし、行政法研究者93人が指摘した行政不服審査法は「国民=私人」の権利利益の救済が目的であり、今回の適用は明らかに濫用と指摘した問題なども議論すべきだ。


先頃大筋合意したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について、経緯の説明、野党からの質問に答えなければならない。特にTPPの場合、水面下での極秘交渉が行われていたため、国会議員という立場でさえ交渉段階での情報入手は困難だった。従って、大筋合意したこの段階で国会論戦を通じてTPPの交渉過程を表面化させなければ、関係者、消費者を含めた全ての国民が知る手段はない。これ以外にも、三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材など名のある大手各社が関与した横浜市都筑区のマンションが傾いている問題、来年から始まるマイナンバーに関する説明、内閣改造後の高木復興相の下着泥棒疑惑、前回このコーナーで指摘したアベノミクスの検証と新三本の矢の説明(同コーナー前回号を参照)など、国会を開催し明らかにしなければならない問題が多々ある。


このように国内で議論を行わなければならない問題が山積している状況下、安倍首相の外交日程だけを優先するということを理由にして、臨時国会を召集しないことは理解に苦しむ。是が非でも安保法制を成立させたいと思っていた今年夏の通常国会延長(戦後最長)と比較すると、政権与党のスタンスの違いは歴然としている。確かに国際情勢が混沌とする中、外交の重要性は理解できるが、上記で指摘した諸問題は政権与党にとって都合の悪い問題ばかり。ほとぼりを冷まし、時が経過すれば国民が忘れるだろう−という姑息な手法が見え隠れしている。こうした安倍首相の政権運営では国民に対し説明責任を果たしているとは思えない。



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