政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。


軽減税率は導入、臨時給付金は了承



来夏の参院選を見据えバラマキ開始


 

自民・公明両党は12月15日、2016年度税制改正大綱の全容を固めた。その中で2017年4月から消費税10%への引き上げに伴い、痛税感を少しでも和らげるため軽減税率の制度を盛り込んだ。当初、自民党は軽減税率の範囲を生鮮食料品に限定する−としていたが、公明党が主張する加工食品も含めた範囲の拡大で落ち着いた。その結果、消費税10%実施時に減額される税収は約一兆円。そのマイナス分の財源確保は先送りされ、社会保障などに悪影響を及ぼすとも指摘されている。


 今回の軽減税率については、自民党税調よりも公明党の主張に軍配が上がったのは、来夏の参議院選挙を見据えての事に他ならない。軽減税率の導入は先の衆院選挙で公明党の公約の一丁目一番地、これを反故にすると自民党と公明党の選挙協力に多大な悪影響を与える。国民に対する痛税感の緩和と公明党との協力をより強固なものにするため、安倍政権にとっては一石二鳥の選挙対策だ。さらに、低所得高齢者を対象に来年1人3万円を配る政府の「臨時給付金」案も一部議員から「高齢者優遇のバラマキ」と批判が相次いだが、結果的には了承された。


 これらのバラマキ的な選挙対策が行われている背景を分析すると、アベノミクス第一弾で果実を享受できたのは一部の富裕層に限定され、当時、政権に近い識者が主張していたトリクルダウンは起きなかった。(10月17日同コーナー参照)このため、富裕層や大企業(主に輸出関連)に勤める正社員以外の多くの国民は可処分所得が減少し、円安による輸入品(主に食品などの生活必需品)の値上げと消費税増税などで、実質的には生活が苦しくなった現状がある。従って、このままで来夏の参議院選挙に突入した場合、アベノミクスの効果が限定的なことに多数の国民が気付き、与党にとって不利な状況と判断、上記のようなバラマキ的な対策が行われている−という事が容易に想像できる。


 “与党も野党も選挙は勝たなければならない”という当たり前の理論は理解できるが、さて安倍政権は来夏の参議院選挙で勝利して一体どの様な政策をするのか、今夏の安全保障法制の強行的な進め方と、秋の臨時国会の招集見送りを見ると、(11月16日同コーナー参照)安倍政権の標準は「憲法改正」である。筆者自身「憲法改正」に対し反対する立場ではないが、経済政策やバラマキを前面に押し出し、選挙戦を有利に運び議席を確保。その議席を安全保障や憲法改正に使う姑息な手法には賛同できない。国の根幹に関わる「憲法改正や安全保障」については、それ自体を選挙戦の論点とし、正々堂々と国民に訴え実施してもらいたい。



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