政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。



米国民の不満が大統領選に反映



格差拡大は資本主義を破滅に追い込む



 

2月に始まったアメリカの大統領選挙の候補者を決める共和党・民主党の指名獲得レースは、共和党はドナルド・トランプ氏、民主党はヒラリー・クリントン氏がそれぞれトップを維持している。(4月上旬現在)共和党トランプ氏の躍進は専門家の予想を大きく覆し、連日メディアで大きく取り上げられている。一方、民主党もクリントン氏の独走が予想されていたが、バーニー・サンダース氏が粘り強く追走している。大統領選でサンダース氏のように社会主義的な考えを持つ候補者が、これだけ支持を集めたことは過去に例がない


 こうした背景にはアメリカが抱える問題点、いわばアメリカ国民の不満の蓄積が予備選の投票に現れている。トランプ氏の主な支持層は常日頃から国民が不満や矛盾を感じている問題点を痛快に代弁してくれる−古き良き時代のアメリカを支えてきた人々。また、想定外の粘りを見せているサンダース氏の支持層は学生時代の奨学金返済に苦しみ、「努力すれば誰でも大富豪になれる」というアメリカン・ドリームに絶望した白人中流層以下の若者が中心。両者の支持層に共通していることは、国民生活における格差拡大を導き、それを放置したこれまでの政治や政治家に対する不満である。予備選が終了し11月8日に本選挙が実施されるが、誰が大統領に就任しても、トランプ氏やサンダース氏を支持した国民層に対する政策の配慮が必要になるだろう。


 格差拡大はアメリカ以外の先進国でも深刻な問題として捉えられており、昨年世界的にベストセラーとなったトマ・ピケティ氏(フランスの経済学者。経済学博士。)の著書「21世紀の資本」の中でピケティ氏が唱える格差論が注目されたことが証明している。日本国内も例外ではなく、グローバル化という旗印の下、アメリカ型の超資本主義を取り入れた。さらに、アベノミクスによる一連の金融緩和により一部の富裕層や大企業だけが恩恵を受けるシステムを導入。労働者層や中小零細企業が取り残された結果、限られた富裕層はより富を享受し、消費税増税や生活必需品の値上げも加わり、一般国民との格差が拡大した。


 一部の富裕層に富が集中する政策を続けた場合、今回のアメリカ大統領予備選のような現象が日本でも起こる可能性が十分にある。これを回避するためにはアベノミクスに代る経済政策を取り入れるか、国家予算の配分を見直し所得の再分配機能を抜本的に改革する以外方法はない。簡単に言えば、額に汗をかいて働く労働者が正当な賃金を貰える社会にする事だ。仮に、この政策を実施すると間違いなく中小零細企業は、人件費が重石になり窮地に追い込まれる。従って、過去に例のないような中小零細企業に対する何らかの税制優遇や支援策が同時に必要となる。大多数の国民が長期間に亘り不満を持ち続ければ、必ず時の政権や政策は行き詰まるだろう。さらに、格差拡大が資本主義の終焉に結びつく可能性も否定できない。今後、安倍政権の経済政策の変化と野党のアベノミクスに代る経済政策の代案に注目したい。



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