加計問題 疑惑深まる柳瀬氏の参考人招致
自民現役議員の不甲斐なさOBに期待
学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、元首相秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官は5月10日、衆・参両院の予算委員会に参考人として出席した。その中で新たに柳瀬氏が証言した骨子は、「加計学園の関係者との面会は3回」、「首相案件とは今治市の個別案件についてではない」、「首相に報告したことも指示を受けたことも一切ない」といった内容。しかし、首相秘書官が官邸で安倍首相の腹心の友である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の関係者と3回も面会しているにも拘わらず、報告も首相からの指示もない−という証言はにわかに信じがたい。
柳瀬氏の答弁について、もう一方の当事者である愛媛県の中村時広知事は記者会見で「県の信頼に関わること、極論を言えばウソ」と不快感を表明した。与党自民党の石破茂衆院議員は「総理に秘書官が報告しないことは普通考えられない。秘書官は個人でなく、(総理の)分身として会っていて、誰に会ったか報告するのが普通だ。全く報告していないことにも違和感は持ったし、政府の中で働いたことがある人たちはそう思ったのではないか」と話した。各社の世論調査をみても、安倍首相の関与を否定した柳瀬氏の国会招致での答弁について、「納得できない・疑惑が深まった」との回答が70%以上を示しており、多数の国民が柳瀬氏の証言を信用していない。真相解明のため、愛媛県の中村知事をはじめ関係者、加計学園の加計孝太郎氏などの国会招致は絶対に必要である。特に中村知事の国会招致は、既に元知事の加戸守行氏が国会に招致されていることから、与党も国会招致を拒否することは良識があればできないだろう。
一連の加計疑惑で時の首相が友人に配慮するのも問題だが、それ以上に首相を守るために高級官僚しかも経産省のナンバーツーの経済産業審議官が、国会で誰にでも見破られるウソをつき通す事は大問題である。官僚は時の権力者ではなく、国民のために仕事をしなければならない。やはり各省庁の幹部人事を掌握する内閣人事局の在り方に問題があり、システムの抜本的な改善が急務だ。
前述の石破氏など少数ではあるが、自民党内からも加計疑惑に対し疑問の声が聞かれている。だが、一昔前の自民党であれば既に“安倍おろし”が始まっている。小選挙区制度による安倍一強の弊害か、大多数の自民党議員から真相解明を実践する動きが見られない。弱小野党が混在する現在、自民党の良識がある議員が行動を起こさない限り、真相究明はできないだろう。一方、不甲斐ない自民党現役議員を尻目に見ながら、自民党OBが安倍政権に対する正当な批判を強めている。先頃のマレーシアでの選挙で、元首相で野党のマハティール・ビン・モハマド氏が選挙結果で過半数を取得し政権交代が起きた。マハティール氏の年齢は92歳、同氏に比べれば引退した自民党OBはまだまだ若く、日本国のためにもう一度行動を起こしてもらいたい。
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