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FRB世界経済の減速に警戒感


長期化する米・中通商協議と関税維持

 世界経済の見通しに暗雲が立ちこめている。未だに出口が見えないイギリスのEU離脱問題、EU圏の牽引国であるドイツ経済指標の落ち込み、フランスの反政権運動ジレジョーヌ(黄色いベスト)による経済活動の減速、長期化する米・中通商協議、BAT(中国のインターネット企業を代表する3企業)の一角を占めるテンセントの大幅なリストラに象徴される中国経済の目に見える失速、トルコ経済の10年ぶりとなるリセッションなど世界的な規模での懸念材料に事欠かない。

 アメリカのトランプ大統領は3月20日、米・中通商協議での合意事項を中国が確実に履行するよう、中国製品に対する関税を長期間維持する可能性を示唆。ホワイトハウスで記者団に対して、ライトハイザー通商代表部代表らを中国に派遣させるのは「協議を進展させるため」と述べると共に、中国製品の関税廃止については、「廃止は議論していない。かなりの期間にわたり維持することを話し合っている。合意するのであれば、中国に確実に履行させる必要がある」と述べた。この発言により、株式市場などが望んでいた中途半端な合意による関税撤廃の可能性が少なくなり、例え合意に至ったとしても中国が確実に合意内容を履行するまでは関税措置が続く公算が強くなった。

 先頃の米・朝首脳会談の様に、中途半端な合意を行わなかった事に対するアメリカ国内の評価が高かった。米・中通商協議においても同様に安易な妥協を模索するよりも、時間を費やしてもアメリカにとって有意義な内容に軸足を置く可能性が高まっている。トランプ大統領率いる共和党よりも野党・民主党の方が対中政策について厳しいスタンスであり、安易な妥協による民主党からの攻撃材料を避ける狙いもありそうだ。いずれにしても米・中両大国の諸問題は通商・貿易でだけではなく、安全保障にも波及する覇権争いであり、どちらか一国の国力が目に見えて衰退しない限り解決はしないだろう。(同コーナー2018年11月号)(2018年12月号)を参照

 一方、アメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)は世界経済の減速を警戒。3月19日〜20日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で今年の利上げを一度も行わず、景気に配慮するハト派的な発表をした。昨年12月の同委員会では、“2回の利上げ”の実施としていたが、今回は“0回”に引き下げ、年内の利上げを実施しない見通しを示した。さらに、米国債などFRBの保有資産縮小を今年9月末に終了すると発表。FOMCのメンバーによる米国内の経済見通し(GDP成長率)についても下方修正しており、前回に比べ0.2%下げの2.1%。この数値は先頃トランプ大統領が発言した3.2%に比べ1%以上の乖離がある。既に、トランプ大統領は法人税の大幅減税という重要なカードを切っており、経済政策の限界との見方もできる。足元の株価は利上げ中止などで楽観的に推移するという見方もあるが、中長期的にはアメリカ経済の失速も視野に入れなければならない。

 世界的な景気減速懸念が高まる中、今回のFRBの大幅なハト派への軌道修正によって、日銀の政策や為替動向、日本の株式市場に大きな影響を与える。日本国内でも3月20日、月例経済報告が公表された。前月の「緩やかに回復」から「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られるが、緩やかに回復している」と景気判断の表現を下方修正している。しかし、“緩やかに回復”と“戦後最長の景気拡大”という文言を継続している。4月の統一地方選挙、6月の参議院選挙など政権にとっては重要な政治イベントが続くため、経済をよりよく見せたい気持ちは理解できるが、株価も含め実体経済は現政権に対し“忖度”してくれない。仮に景気減速が現実になればアメリアやEUに比べ、アベノミクスによってもたらされ、継続している日銀のゼロ金利政策が足かせとなる。先進国の中でゼロ金利を継続している日本は世界規模のリセッション(景気後退)に陥った場合、金利を下げるなどの金融政策が打てず、壊滅的な打撃を受ける可能性も否定できない。




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