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内閣改造で支持率上昇せず



安倍首相10%消費税増税を表明



10月2日、第四次安倍改造内閣が発足した。派閥均衡型の“在庫一掃セール内閣”と揶揄されてのスタートとなったが、案の定、各社の世論調査を見ると、支持率、不支持率ともに前回調査と比べほぼ横ばいの結果となり、内閣改造による支持率上昇の効果は得られなかった。国民の目は節穴ではなく、森友学園問題に端を発した財務省の決裁文書の改ざん、近畿財務局職員の自殺、事務次官のセクハラ問題など、改造前に財務大臣が辞任に追い込まれても当然といえる事件が多発した。一連の不祥事に対する麻生太郎副総理兼財務大臣の発言は、国民感情を逆なでする内容だった。なぜ首相がそんな麻生大臣を留任させたのか?政権の屋台骨という側面もあるが、森友学園問題の原因は首相夫人の安倍昭恵氏にあることから、麻生大臣を解任させられないのでは−と勘ぐりたくなる。


一方、自民党役員人事を見ると、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長が留任の他、加藤勝信総務会長、甘利明選挙対策委員長、下村博文憲法改正推進本部長、萩生田光一幹事長代行、稲田朋美筆頭副幹事長兼総裁特別補佐、松島みどり広報本部長など過去に不祥事が露呈した安倍首相に近い面々が数多く起用された。こうした人事は安倍首相にとって都合が良く、憲法改正に着手するためには絶好の布陣だ。しかし、国民の求める政策の中で憲法改正の優先順位は常に下位である。このような内閣や党役員の布陣では、決して国民の共感や理解は得られないだろう。


 10月15日、安倍首相は来年10月からの消費税増税(8%から10%)を表明した。さらに、中小の小売店を対象にキャッシュレス決済を条件として、増税分2%をポイント還元するとの案が発表された。10%への増税が実施される際、公明党が主張して盛り込まれた軽減税率がスタート、酒類を除く飲食料品が対象になり税率が8%に据え置かれる。ファーストフード店などで同じ商品を購入した場合、テイクアウトとイートインでは税率が2%異なり、消費者の支払金額が変わるという極めてわかりづらい制度。消費者が混乱することに加え、小売店側の負担も増大する。仮に、顧客がテイクアウトで購入した商品をイートインスペースで食べた場合、店の従業員はどのように対応するのか?現実的にはそのまま見過ごすことになるだろう。見過ごす店舗が主流となれば、イートインスペースで食べると正直に申告した消費者が馬鹿を見ることになる。与党が提案している軽減税率については、生活必需品である飲食料品の税率を安くするというコンセプトは否定しないが、実際の運用では無用なトラブルが続出する懸念がある。


安倍首相が発表したキャッシュレス決済を前提としたポイント還元制度は、対象店舗で飲食料品を購入した場合、ポイント還元分の2%を差し引くと、6%の税率になり現行の税率を下回る矛盾が発生する。さらに、クレジットカード決済をした場合、当該店舗は3%前後(高いケースは7%前後)の加盟店手数料を支払わなければならず、実質の減収になってしまう。軽減税率とポイント還元制度は多くの改善の余地があり、公正で矛盾のない事を大前提として、消費者がわかりやすい制度を迅速に検討すべきだ。



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