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忖度では済まない官僚のモラル低下に驚愕




安倍三選はおろか総辞職や解散の可能性も


森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざん、この問題の核心部といえる8億円の値引きの根拠に関する口裏合わせ−といった官僚のモラル崩壊の事実が浮き彫りとなった(同コーナー3月号参照)。加計学園の獣医学部新設を巡る問題でも新たな事実が表面化した。2015年4月、愛媛県の職員が首相官邸で当時の柳瀬唯夫首相秘書官(現・経済産業審議官)と面会した際の記録文書を担当職員が作成していた。この事実を中村時広愛媛県知事が記者会見を開き明らかにしたことで、柳瀬氏と愛媛県側の主張が真っ向から対立する構図となった。当時、柳瀬氏は国会で「記憶の限りでは、お会いしたことはない。“首相案件”になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」と答弁した。しかし、柳瀬氏の答弁は中村知事の「職員が文書をいじる必然性は全くない」と言い切った発言と比較すると、「記憶の限り…」という偽証罪を意識した“身の保全”含みの答弁であり、信憑性に欠ける。「記憶の限り…」という曖昧な表現をしながら、“首相案件”については明確に否定する手法は理解できない。先頃の森友文書改ざんについての証人喚問で国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏(元理財局長)が自民党の丸川珠代参議院議員の質問に対し、安倍首相や昭恵夫人、麻生財務相の関与について明確に否定した光景と同じだ。こうした国民を欺くような手法が首相発言への信頼度低下、政権中枢に対する不信感に結びついている。柳瀬氏が曖昧な答弁をする背景には、安倍首相は「獣医学部新設について話をしたことがない。計画を知ったのは2017年1月20日」という答弁との整合性にあり、柳瀬氏が認めると首相の答弁が虚偽になる可能性があるから−と考えるのが妥当だろう。


 これらの問題は安倍首相夫妻、安倍首相周辺からの指示があったのか、それとも官僚の忖度か、いずれにしても内閣人事局が各省庁などの幹部人事を掌握したことが原因だ。かつて各省庁が省益を優先し、国全体や政治家を含む国民を蔑ろにしていた。こうした状況を改善するために発足した内閣人事局だが、官僚は国民ではなく人事権を握る安倍首相や官邸を第一に考え行政を行うようになった。これでは国民ファーストの行政は永遠に行われない。今後、内閣人事局の権限を縮小し、人事局の在り方を抜本的に改革しなければならない。一連の不祥事で答弁する官僚幹部の倫理の欠如、バレなければいい−といった姿勢には呆れて物が言えない。安倍首相は昭恵夫人をはじめ全ての関係者の国会招致を自らが積極的に行わなければ、この事態は収まらない。


 さらに自衛隊の南スーダン、イラクなどの海外派遣について、存在しないとしてきた活動報告(日報)が次々に見つかる由々しき事態となった。2016年南スーダンの問題が表面化し2017年7月に当時の防衛相だった稲田朋美氏が辞任した。この問題は現在の小野寺五典防衛相が辞任すれば済むという話ではなく、シビリアン・コントロール(文民統制、文民たる政治家が軍隊を統制する政・軍関係における基本方針)ができているのか−という重要な問題。北朝鮮問題や中国の海洋進出など、日本を取り巻く東アジアの安全保障環境が激変している。これに加え、憲法改正(9条を含む)の議論が行われている状況下、シビリアン・コントロールが機能していないという事が残念ながら明白となった。これでは自衛隊の海外派遣に関わる全ての前提が崩れる。昨今の国際情勢を見ると、自衛隊の海外派遣、軍事行動など時代や周辺環境に即した憲法や法律改正が必要だが、その前にシビリアン・コントロールの徹底が急務である。


 現在、自民党内では石破茂議員、小泉進次郎議員など政権批判ともとれる真っ当な発言が相次いでいるが、今後、自民党全体が「安倍おろし」の方向に向かうか、安倍政権と心中する覚悟を固めるか注視したい。もはや安倍首相の三選は国民の理解が得られない。早ければ今秋の自民党総裁選を前に、内閣総辞職や解散総選挙という事態になる可能性も現実味を帯びてきた。






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