活ノ藤リサーチ・アンド・アドバイザリー 伊藤 敏憲

仕切り価格算定方式の修正を提案

現行の仕切り体系は元売りと一部の販売業者のみを利する

 
元売り各社が好業績を確保し続ける一方で、販売業者の多くが低収益にあえいでいます。その理由の一つが石油製品の利幅の差で、卸売マージンがおおむね堅調に推移しているにも関わらず小売マージンが低迷しているからです。

 元売り各社は、08年から09年にかけて、業転・スポット市況を基準に、機能・ブランド等の提供料(ロイヤルティ)、配送コストなどを加算して算定する市況連動型の仕切り価格体系を導入し、その後、大半の元売りがロイヤルティを引き上げました。この仕切り価格体系の改定と、その後の元売りの対応にはいくつか問題があったように思われます。

 スポット市況連動型の仕切り価格体系が普及したことをきっかけに、元売り各社が需給を引き締めてスポット市況の是正に取り組むようになったことは高く評価できます。しかし、ロイヤルティの水準と引き上げ後の元売りの対応については疑問を感じざるをえません。

 元売り各社がロイヤルティを引き上げた10年の春から夏にかけての時期に小売り市況はほとんど影響を受けませんでした。全社が同時期に改定しなかった(もしも同時期だったらカルテルと認定された可能性があったでしょうが・・・)、スポット市況が影響を受けなかったなどがその理由と思われますが、結果として、ロイヤルティの引き上げは販売業者から元売りへの利益移転にすぎなかったのです。実際に、複数の元売りの経営幹部が、私に対して、市況連動型の仕切り価格体系を導入しロイヤルティを引き上げたことで、元売りの利幅が相対的に大きくなったと認めています。

 また、複数の元売りが一部の販売業者に対して経営支援(事実上の値引き)を行なっているようですが、これが利益を再配分するための最善策とは思えません。個別対応は販売事業者やSS間での競争がゆがめてしまうからです。少なくとも、元売りの機能の一部を代替している特約店に対して、一定のルールに基づいてロイヤルティを引き下げることを検討すべきと思われます。


系列仕切りがスポット市況に対して常に割高になるのは問題

 
かつて、原油調達等のコストに連動した仕切り体系が主流だった際には、需給が引き締まってスポット市況が上昇した局面で、系列仕切り価格とスポット市況との価格差が縮まったり、逆転したりしたことがありました。現行の仕切り体系では、系列仕切り価格が常にスポット市況より割高になってしまうことも問題でしょう。

 この問題は、スポットマージンが一定水準以上に拡大した場合に仕切り価格を割り引く方式を導入すれば解決します。

 元売りは、ブランドの提供者であり、その対価を系列販売事業者に求めているのですから、小売りマージンの拡大にも取り組まなくてはいけません。小売り市況が崩れないように販売子会社や有力取引先に対して市況の適正化を求めるのは当然でしょうが、スポット市況が上昇した際に、そのメリットが元売りにだけもたらされるような現行の仕切り価格体系では、元売りに小売マージンの拡大に取り組むインセンティブが働きませんし、有力販売業者の元売り離れを加速しかねないと危惧されます。


バックナンバー
2012/02/20 変化の兆し
2012/01/20 「新年の取り組みいかんで将来が大きく左右される」

 



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