執筆者: 伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー 伊藤 敏憲
 提供: 昭和シェル石油  東燃ゼネラル石油 三菱商事石油 
カーケアサービス事業の収益は取り組み次第で拡大できる

カーケアサービス事業全体の市場規模は、乗用車の保有台数が減らない見通しですので、現状から大きく変化することはないと予想されます。しかし、@カーディーラー、カー用品専門店、タイヤショップなどとの競合、ASSにおいて整備・点検・車検などの収益を上げにくいHVC、PHVC、EVなどの普及、Bカーケアサービスを提供しないか、限定的にしか提供しないSSの増加などが影響し、SS業界が獲得できる従来型のカーケアサービス事業の収益は現状比で縮小すると見込まれます。

そして、これまで以上に、取り組み姿勢や業態の違いなどによって、SSおよび石油販売事業者間でカーケア収益の差は拡大すると予想されます。


エコステーションの普及は進まない


 次世代型SSとして期待される向きもある充電ステーションや水素ステーションが今後10年以内に普及している可能性は低いでしょう。

EVの価格は今後さらに低下すると見込まれますが、電池の制約から、航続走行距離や車両価格のネックをクリアするのが難しいので、10年後においても100万台規模で普及しているとは思えません。このため、EVやPHVC向けの充電設備を設置したSSが普及している可能性はありますが、充電やEVに特化した事業によって十分な収益を稼げるようになるとは思えないからです。


EVやPHVCへの充電は、主に電気料金が割安な深夜時間帯に自宅や事業所で10数時間かけて行われます。急速充電器を用いると充電時間を短縮できますが、電気をほぼ使い切った状態から80%程度充電するのに現行のEVおよび急速充電器では20〜30分かかるケースが多くなっています。EV並びに充電設備の進化によって充電時間は短くなっていくと予想されますが、給油より短時間で充電できるようになるとは考えられませんので、充電設備を設置すると、SSの顧客回転率やスペース効率は悪化しやすくなります。また、給電設備を備えた駐車場やロードサイド型店舗が増えていますので、料金を支払ってSSで充電するドライバーは限定されると予想されます。EVやPHVCにも、洗車や鈑金・塗装などのボディケア、タイヤ・ホイール、アクセサリーパーツ、消耗品などのサービス・販売事業を提供できますので、全く対応しないのもどうかと思いますが、充電設備は、スペースに余裕があれば設置する程度の対応で十分と思われます。


究極のクリーンエネルギーシステムとして注目されている燃料電池車(FCV)や水素エンジン車(HEV)に水素を充填する水素ステーションが普及している可能性はさらに低いと思われます。

FCVは、トヨタが2015年に市販車の発売を予定していますが、燃料電池システムの製造コストや耐久性などの課題を克服するのにまだ相当な期間を要する見込みです。


また、水素は、空気中で4〜75%の濃度で静電気程度の着火エネルギーで爆発する可能性がある危険物であり、自然界に存在する物質の中で分子量とガス密度は最小、拡散性は最大で、多くの金属や有機物質と結合しやすいため輸送・貯蔵が難しいといった特性から、現在5−6億円かかる水素ステーションの設置コストを一般のSS並みに引き下げることも難しく、FCVやHEVが需給両面で経済的な課題を克服するのが簡単ではないと思われます。

  【車種別登録自動車台数の推移】

  (データ出所:日本自動車工業会)


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