「中東、アジアを中心とした国際情勢の本質を掲載 当サイト編集顧問」

国士舘大学政経学部政治学科講師

「反日を貫いて生き残れるか 韓流経済が抱える深い影」

【韓国の空港で見た格差】

 2012年8月7日、航空チケットの関係でタイのバンコクから韓国のインチョン空港、そこからソウル市内のキンポ空港経由で羽田というルートで帰国した。

 インチョン空港は広くて新しく清潔感あふれている。イミグレーションで入国の手続きを採る事になるのだが、窓口にはカメラと指紋検査機があり、入国者は指紋と顔をカメラに近付けるだけで良い。このシステムは日本では成田空港で試験的に導入されたばかりだが、韓国ではすでに実用化されていたのだ。

インチョン空港からキンポ空港まではリムジンバスに乗ったが、空港内でチケット購入に使うクレジットカードへのサインは電子ペンで行い、その文字はディスプレイに表示される。日本で多くあるようにペーパーにサインする必要はない。

この事からも分かるように、韓国の最先端の場所は日本よりはるかにIT化されている事を実感した。しかし、私の乗ったリムジンバスの座席その他は相当年数がたった古いタイプのものであり、空港内で使われていた最先端のものと対極に存在している感があった。

【韓国社会が失った論理と歯止め】

帰国直後の8月10日に、イ・ミョンバク大統領の竹島上陸。14日にはロンドンオリンピックのサッカ―3位決定戦で日本に勝った韓国代表チームのパクチョンウ選手が政治的活動禁止のオリンピックの場に於いて「独島(竹島)は我らが領土」とアピールした。この二つはこれまで長い間積み上げて来た日韓関係の根本を揺るがすような事件であり、後者はオリンピックの精神そのものを踏みにじった事になる。これに対して、韓国内では世界的なルールから見て逸脱した行為であるという視点からの反発は無く、返って英雄視するという、国際的基準からは大きく外れた行為に出た。つまり韓国社会には論理的・客観的な歯止めが一切存在せず、自国の視点のみが世界基準であるかのようにふるまったのである。 

更にイ・ミョンバク大統領は、同じ日の14日に「日王(天皇陛下)が韓国を訪問したいのなら、独立運動で亡くなった方々に膝を折って心からの謝罪をする必要があると(日本側に)伝えた」と天皇が韓国訪問を切望しているかのような事実無根の事を前提にした一国の大統領としての見識も矜持も欠いた発言をしたのである。実際は過激な言葉を使っているため、さすがの韓国メディアもその内容の意訳を報道。日本のマスコミもそれに倣ったと言うのが真相だ。 

これらの行為に対して日本政府は、駐韓大使を一時帰国させ、親書を送って抗議する旨伝えようとしたが、韓国は受け取りを拒否。これに対して日本のマスコミは史上初の出来事と大騒ぎしたが、実はこの国が日本の国書受け取りを拒否した前例が存在する。 

【マスコミが書かなかった もうひとつの暴挙】

1868年12月明治新政府成立直後、日本政府は新しい体制のもとで国交を結ぶ事を申し入れたが、当時鎖国をし、冊封体制であった李朝朝鮮は国書の中に使われている「皇」や「奉勅」は清国の王朝のみに許された言葉である事だとして受け取りを拒否している。イ大統領が「日王」という言葉を使ったのも、この故事に倣ったものだと考えてもあながち間違いではないと言えるだろう。

この事件をきっかけに日本国内では西郷隆盛等から「征韓論」が唱えられ、ひいては福沢諭吉の「脱亜入欧」論に繋がっていく。当時の日本政府の申し入れは、朝鮮の鎖国体制を解き、清国に朝献してお返しを貰うという冊封体制から近代的な貿易が行えるような新しい日朝関係を築こうとしたものであった。

先に挙げたインチョン空港での最先端技術を駆使した近代的システムを開発し、運用して行くには論理的手続きが必要なのは言うまでもない。が、8月上旬に起きた韓国の竹島に対する行為に対して、最先端技術を扱うための冷静な科学的思考や論理、手続きも存在せず、国際ルールでは通用しない、別の韓国人が存在しているような違和感を覚えたのは私一人ではあるまい。そして、この一連の異常な事柄を通じて、日本人がいままでほとんど興味を持たなかった「島根県竹島」と、韓流ブームとは別に韓国人とその思考の在り方に関心を持ち始めた事は言うまでもないだろう。



【解決する為に必要な視点】

この問題は、究極のところハーグの国際司法裁判所で近代国際法に照ら合わせて決着をつければ済む問題である。日本人の法意識からすれば法的手続きがきちんとしていれば、様々な意見がありながらも最終的には竹島が韓国領になっても承認せざるを得ない事になるだろう。つまり、日本人にとって竹島で起こっている事は領土に関する揉め事で在り、国際法という客観的な基準に準拠する事がまず大前提である。

しかし、これに応じる気配が全くない韓国の態度に、日本人が疑念を持つのは自然な事となる。これに対して韓国は竹島領有を歴史問題と絡めて捉えている。さきのイ・ミョンバク大統領の天皇に対する発言もその典型例だ。

歴史に対する認識は互いに客観的事実を積み重ねる事を大前提とするが、それをナショナル・ヒストリーとして物語にする過程で、まるで正反対となる事も多い。その事自体は近代的なナショナリズムを基礎とした国民国家形成の過程では致し方の無い事でもある。従って、「竹島」を歴史認識の問題として捉えると永遠に決着のつかない問題となるわけだ。この事を持って日韓の関係がギクシャクし、日本人の間に嫌韓意識が強まり、韓国人の間に反日の感情が高ぶり、互いの間に言い知れぬ不安と苛立ちが募るという事態は不毛だと言えよう。と同時に互いの本当の姿を見失ってしまう事になりかねない危険性をはらんでいる。

では日韓関係の基本を成す「本当の姿」、いわゆる客観的事実は何かと言えば、経済関係である。日韓の貿易、投資、GDP等の数字を基礎に辿って行けば、両国の関係が顕わになり、互いの姿が見えてくるはずである。次回はこの事件をきっかけに、顕著になった問題点を経済という客観的視点で眺めて見る事にしたい。


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