電力・ガス小売全面自由化をきっかけに本格的な競合時代に入るエネルギー産業

 

広がる電力小売りへの新規参入

今年4月に電力小売りが全面自由化されて、すべての需要家が電力会社を自由に選べるようになりました。昨年10月から経済産業省が小売電気事業者の登録を受け付けていますが、4月28日現在で、登録事業者数は291に上っています。


小売電気事業者(以下、新電力)は、地域の電力各社の標準的なメニューに対して割安な料金や、通信やガスなど他の事業とのセット割引を打ち出して、今年1月に事前受付を開始し、4月から切り替えが始まっています。4月30日現在において、全国で約82万件の需要家が電力の購入先を新電力に切り替えており、切替件数は年央までに100万件を上回りそうな勢いです。マスメディアがこの動きを大きく報道していますので、電力小売りが全面自由化されたことを知らない国民はほとんどいなくなっています。



ただ、電力各社と業務提携を結んだ会社以外の新電力は供給力が十分に確保できていませんので、サービスエリアを東京電力や関西電力の供給エリアに限定しているケースが少なくありません。このため、5月現在では、一部の地域では選べる電力会社が限定されていますが、今後、競争は徐々に拡大していくと予想されます。


電力会社の切り替えは、切り替え先の新電力に申し込むことでほぼ完了します。現在契約している地域の電力会社への解約手続きや、切り替えるために必要な通信機能を備えた電力量計「スマートメーター」への交換手続きは、新電力に委託することができるからです。電力会社と新電力との間で電力の質に差は生じません。同じ送配電網で供給されるからです。また、新電力は、それぞれの地域の電力会社と供給量が不足した場合に不足分を補ってもらえる常時バックアップ契約を結びますので、新電力が必要な電気を供給できなくなったとしても停電になることはありません。契約先が地域の電力会社に切り替えられることになるだけです。


電力各社は、新しい割引料金メニューの導入、ポイントバック制度の導入、サービスの強化などによって対応しようとしていますが、新電力は、自前や契約によって電力各社の料金に対抗できる供給力を確保できた分だけシェアを獲得することになると予想されます。


新電力のシェアが拡大するかどうかのポイントの一つは、競争力のある供給力が確保できるかどうかによります。複数の新電力が、発電所の新設・増設計画に取り組んでいますが、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法による火力発電に関する規制の見直し、環境規制の強化の流れなどを勘案すると、発電所の新増設計画が順調に進むとは考えられませんので、電力業界の構造が短期間で様変わりすることはないと思われます。


なお、複数の電力会社の現在の料金は、原子力利用率の低下などの影響で正常な水準に比べて割高になっています。また、電力各社の規制料金は政策的にゆがめられています。しかも、新電力は需要家を選ぶことができますので、料金が割高に設定されている電力消費量の多い家庭向けや、セット割引でメリットが得られる需要家に対象を絞り込むことで、魅力的な料金やサービスを提供することができます。新電力の中には、本業の顧客を囲い込んだり、新しい需要家を開拓したりするために電気とのセット割引を行っているケースもみられます。


   


(1/5)



会社案内|個人情報|著作権|リンクポリシー
本ページに記載の記事・写真などの無断転載を一切禁じます。
著作権は泣}ジカルネットワークまたはその情報提供者に帰属します。

Copyright (C); 2016,
Magical Network Inc. All Rights Reserved.