1-4.原油市況の低迷理由


原油相場は、昨年12月以降、下値を模索する展開が続いています。NYMEXのLight Sweet Crude Oilの先物期近価格は、1月28日に1バレル44ドル台まで下落した後に反発し、2月3日は53ドル台まで上昇、その後は50ドルを挟んで騰落を繰り返しています。ドバイ原油、オマーン原油などの中東産原油や北海Brent原油は、1月下旬から2月中旬にかけて15ドル前後上昇しましたが、3月中旬にまた値を崩しています。


1月末に反発した際に材料視されたのは、米国の石油リグ(掘削設備)の稼働基数の減少でした。石油リグの稼働減により原油生産量が減少し、需給が引き締まるとみられたのです。実際にアメリカの石油リグの稼働基数は、ピークの昨年10月〜11月に約1,600だったものが、3月20日の段階で825まで減少しています。これにより昨年10月〜12月に日量900万バレルを超えていたアメリカの原油生産量は、3月上旬には日量800万バレルを下回ったと推定されます。


ところが、米国の原油在庫は年初から3月中旬まで増加傾向で推移し過去最高の水準まで積み上がっています。他の消費国や産油国でも在庫は増加傾向にあります。増加理由の一つは、原油の先高を見越して在庫を積み上げているためと推察されますが、北米では減産されているものの、産油国の一部が増産していると推定されること、世界的に需要が伸び悩んでいることなどから、需給は引き締めきれていないと考えられます。消費国及び産油国の原油在庫が減少に転じない限り、原油市況が大きく上昇する可能性は低いと考えられます。


また、ドルがユーロなど他通貨に対して値上がりしていることも、原油価格の上昇を抑制する理由の一つになっています。


原油価格と他の商品や経済指標との間に強い相関性が見られることがあります。原油価格とドル・ユーロ為替レートの間には2007年9月頃から2008年11月頃にかけての時期、そして、2012年2月以降に強い相関性が見られます。また、2009年3月頃から2013年8月頃にかけて、原油価格とアメリカなどの株式指数との間に相関性が見られました。このような相関性が成り立つ背景には、関連性がある指数との相関関係を分析して作成したルールに基づいて自動的に投資の判断および売買の発注を行うプログラム取引が市場取引の相当量を占めているという事情があります。昨年後半以降、原油価格が下落し、低迷し続けている理由の一つはドル高にあると考えられるのです。


データ出所:ブルームバーグ、日経新聞



 

1-5.原油価格見通し:短期的には60ドル台、年後半には7090ドルを目指すと予想


ただし、前述したように、北米では原油価格が80ドルを下回った昨年11月以降、新規投資にブレーキがかかり始め、12月下旬から石油リグの稼働基数が減少し始めています。


近年開発が拡大している北米のシェールオイル開発の損益分岐点は、原油価格と石油リグ(石油掘削設備)の稼働基数との相関関係から60〜80ドル程度と推察されます。2000年代後半以降に開発が進められたカナダのオイルサンドから生産されるビチューメン、ブラジル沖の深海油田、アフリカや中央アジアなどの新規油田の開発プロジェクトの多くも原油価格が60〜80ドルでは十分な採算が確保できないと推定されます。


このまま原油価格が低迷し続けると、アメリカの原油生産量が昨年末のピークを日量約300万バレル下回る日量600万バレル前後まで落ち込む可能性があると考えられます。2000年代後半以降に開発が進められた新興産油国の生産量も、今後、減少に向かう可能性が高いと考えられます。探鉱・開発投資が削減されてから、原油の生産量が減少するまでにはタイムラグがあるため、すぐに供給量が落ち込むことはありませんが、経済が比較的好調なアメリカがけん引する形で需要が増加すると、原油の国際需給が引き締まり、市況を押し上げると予想されます。


では、原油相場はどこまで戻す可能性があるのでしょうか。価格チャート面からみると、昨年8月に相場が崩れ始めた時期の90ドル近辺、あるいは、昨年11月以降に下げ足が速まった時期の80ドル前後が、短期的な戻り高値の節目になると考えられます。一方、経済性からみると、シェールオイル開発の損益分岐点と推察される60〜80ドルがポイントになると考えられます。私は、短期的には60ドル台を目指して上昇し、年後半には70〜90ドルまで値を戻すと予想しています。


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