IMO規制特集


◎海洋の大気汚染を規制するIMOの存在

  読者の皆様は海洋汚染の防止を定めた条約やこれを遵守するための様々な規制があり、これらを取り仕切る組織が存在することをご存知ですか?例えば日本国内における自動車の排ガス規制については、ドライバーを始め多くの人々が認識しているのに対し、海洋において大気汚染物質の排出規制値がある事はあまり知られていません。さらに、世界にまたがる海洋では一国だけの法律や取り締まりでは規制できません。今回のIMO規制特集はスポンサーである東燃ゼネラル石油様のご厚意によって、石油業界関係者はもとより一般の方々に対し、海洋汚染を防止するための専門機関や具体的な規制強化の内容について、広く認識していただきたいことを掲載の目的としています。以下、内容をご紹介いただきます。


◎一般海域の規制強化0.5wt%上限は2020年スタートが決定  

 世界的な海洋汚染の防止にはIMO(国際海事機関、International Maritime Organization)が中心となって取り組んでいる。IMOは国際連合の専門機関一つであり、171加盟国と3準加盟国で構成されており、日本は1983年3月に加盟している。その傘下の組織であるMEPC(海洋環境保護委員会、Marine Environment Protection Committee)は船舶からの汚染防止・規制にかかわる事項の検討を行っている。今回のメインテーマでもあるSOx(硫黄酸化物)の排出規制や環境汚染を防止するための構造設備等に関する基準を定めたものがマルポール条約(MARPOL73/78、73/78とは1973年に採択され1978年に発効という意味)である。同条約は別名「海洋汚染防止条約」と呼ばれ、国際海運分野で船舶の航行や事故による海洋汚染を防止することを目的として、有害物質や大気汚染の排出規制に加え環境規制を導入しており、国際条約、議定書などから構成されている。

 少し詳しくはなるが、マルポール条約付属書Yでは、NOx(窒素酸化物)とSOxの排出を制限しており、SOxについては船舶燃料の硫黄分濃度により規制をかけ、「一般海域(グローバル)」と「硫黄酸化物排出規制海域((SOx) Emission Control Area:(S)ECA)」に分けて設定されている。北米海岸並びに欧州ではバルト海、北海、英仏海峡がECAとして指定されている。
 
 SOxの規制は2015年以降、船舶燃料中の硫黄分を一般海域で3.5wt%、一部の(S)ECA海域で0.1wt%に規制している。(※) 一般海域における0.5wt%の上限値開始については、当初2020年か2025年のどちらかがスタートの年だったが、先頃、IMOのMEPC70において2020年1月1日から始まることが決定した。この決定により、2008年以来懸案であった、世界的規制動向の開始時期については具体化したと言える。(下記の図を参照)

 

 

IMOおよびEUにおける船舶燃料の硫黄分規制概要

 

IMO規制

付属書VI

EU規制

2012/33/EU

2010

2015

2020

2010

2015

2020

グローバル

4.5

3.5

0.5

-

3.5

0.5

ECA

1.0

0.1

0.1

1.5

0.1

0.1

 
 

(※)なお、日本のECA海域の議論については、国土交通省が設置した“船舶からの大気汚染、放出規制海域に関する技術委員会”で必要性について、石油連盟も加わって検討した。しかし、日本ではNOXは自動車排出ガス中心にかなり大規模な対策を継続してきた経緯や、2013年6月大気質改善効果そのものも小さいか効果が明確ではないため「現時点では必要性があるとは判断されない」としている。今後とも大気汚染物質に関する世界の取り組み状況に注視しつつ、科学的知見の蓄積等により、国全体としての対応に見直しがあった場合、改めて検討可能性はある。

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