IMO規制特集


◎硫黄分を回収するスクラバーはオープン型が主流


前述した※1スクラバーについての詳細説明 
   スクラバーは湿式(海水やアルカリ水で排ガス中のSOxを洗浄する)と乾式(吸着剤を使用し排ガス中のSOxを吸収し浄化する)に分けられ、船舶用スクラバーは湿式が開発・採用されているケースが多い。この装置は脱硫に加え、PM(粒子状物質、Particulate Matter)も約70〜80%の除去が可能とされている。船舶用湿式スクラバーの構成はクローズドループ方式、オープンループ方式、ハイブリッド方式の3方式に分類される。クローズドループ方式は規制が厳しいECA海域でも対応可能な98%以上の脱硫率を達成できる。この方式のメリットは海水の性質に左右されず、一定した操作性が得られることである。デメリットは廃液処理にコストがかかることや、港によっては排水できないこともあることである。現在主流のオープンループ方式は天然のアルカリ水である海水をSOx除去剤として使用する。メリットはクローズドループ方式に比べ操作性が容易で、低ランニングコストも魅力である。デメリットは海域により海水のアルカリ度及び水温にばらつきが生じるため、浄化装置の性能維持に影響がある。使用済みの海水を海中に排出することによる環境への影響も懸念されるので十分な希釈による対策が検討されている。最終的に普及が期待されているハイブリッド方式は、ECA海域と一般海域の両方で状況に応じてオープンループ方式とクローズドループ方式の切り替えが可能なシステムである。メリットは可能な限りオープンループ方式を使用することで操作コストを抑え、必要に応じてクローズドループに切り替えることで両方式の利点が得られることである。一方、デメリットは処理操作と設計上の問題点が多く、必要機材が増え、切替え操作が複雑になる事である。

◎規制強化に関する懸念材料

 硫黄分の規制強化が2020年1月1日から一般海域でも上限0.5wt%になる事がIMOのMEPC70で決定された。その会議において、石油精製サイドの有識者から、世界中が一夜にして規制強化されることで混乱が懸念されているが、現時点における規制強化開始時期に関わる注目点は下記の通りである。


 

〈燃料供給・使用〉

▼製油所の脱硫設備が不足する可能性がある。製油所における余剰硫黄の処理方法、製油所対応の要否。
▼世界中で様々な方法でブレンドされる低硫黄燃料を使用することの実現性が不透明であること
▼多様な引火点、粘度、発熱量、ダンベル性状の燃料油使用時における運転制御など様々な懸念が想定される。
▼さらに全体的な影響として、石油精製業とは連産品ビジネスであることから他油種も含めた需給バランスが崩れ、各種燃料の価格高騰が懸念される。価格高騰によるコスト増加分は運賃へ転嫁され、最終的には国民負担になる。 などである。

 

船側の懸念として、次の点が考えられる。

〈船側での懸念〉

▼スクラバーを設置するための投資が遅れること。
▼規制強化の当初、高硫黄C重油の需要が急減。その後、経済効率性の高いスクラバーが普及し、経済性(安価)の高い高硫黄C重油の需要が徐々に回復することによって、経年的な需給バランスの崩れが発生することでのコスト上昇。


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