政治・石油業界を含む経済、各種市場などのテーマを独自の視点から分析・解説します。



新型コロナ アメリカ海外渡航中止を勧告


効果が乏しいFRBの利下げ乱発


 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。アジア圏から全世界に波及。イタリア、スペインなどEU諸国に加え、アメリカまでもが“国家非常事態”を宣言した。アメリカのトランプ大統領は3月16日、コロナ問題が収束するのは「7月か8月ごろ」にかけて-という専門家の見方を示した。米国内の感染拡大を食い止めるため、今後15日間は10人を超える集まりを中止するように要請、レストランやバーなどでの飲食自粛を呼びかけた。さらに、アメリカ国務省は3月19日、アメリカ国民に対し全ての海外渡航の中止を勧告。既に海外へ渡航中のアメリカ人に対し直ちに帰国するように求めた。


一方、世界的に経済活動は著しく鈍化しており、アメリカ、日本、EUなど各国の株式市場は乱高下を繰り返し、大暴落している。これに対し、米連邦準備理事会(FRB)は3月3日、0.5%の緊急利下げを行ったが、各市場は落ち着きを取り戻せず乱高下が続いた。3月15日、緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて1.0%の大幅利下げに踏み切った。政策金利は0~0.25%となり、2008年の金融危機以来のゼロ金利政策を敷く。米国債などを大量に購入する量的緩和政策も復活。金融政策を全面的に危機対応モードに切り替え、新型コロナウイルスによる経済の混乱を抑える狙いだ。米国の金融緩和に続き、日銀を含めた各国の中央銀行も金融緩和に舵を切った。


 しかし、ニューヨーク市場、東京市場など主要各国のマーケットは、株価の大暴落に歯止めをかけることはできなかった。FRBの今回の対応をみると、マーケット関係者が望む大部分の政策を実施。関係者からは「もう切るカードがない」といった悲観論も出ている。金融システムが破綻した場合、各国の中央銀行が実行した利下げなどの政策は意味がある。しかし、今回のコロナ危機は金融政策では乗り切れない。人々の移動が制限されれば仕事、レジャー等すべての経済活動が鈍化し需要が減少する。従って、今回のFRBをはじめ各国の中央銀行が実施した利下げなどの金融緩和策は、無駄なカードを切った-とまでは言わないが、時期尚早であったことは確かだ。今後、コロナ危機がトリガーになり、金融破綻が生じた時まで“カード”を温存させる方が効果的だった。この数年、実体経済よりも株高が先行しており、景気に対する先行き不安が発生した際、金融緩和策で乗り切ってきた。市場関係者も“困ったときの金融緩和”に頼りすぎていたし、中央銀行も金融緩和策さえ打てば株価は回復するといった過信があったように見える。いずれにしても金融政策での解決ができないのであれば、積極的な財政出動を打ち出さなければならない。近々に資金繰りで倒産する企業、フリーランスや非正規雇用といった生活弱者を支援しなければならない。


 経済活動を復活させるには、コロナウイルス感染の収束が一番の特効薬だが、ワクチンの開発や自然収束には短くても半年以上、年単位の時間がかかる。新型コロナウイルスと人類の戦いは始まったばかりだ。IOC(国際オリンピック委員会)や日本政府のように「今夏の東京オリンピックが開催できる」といった戯言は迅速に撤回すべきだ。それよりも、これまで正しいと盲進してきたグローバル化や中国に頼りすぎたサプライチェーンをある程度見直したり、グローバル化の大きなリスクとして感染症拡大を踏まえたり、新たな経済活動のスキームを考えなければならない。





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