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安保法制国会が空転


大多数の憲法学者が違憲と判断


 

 安倍政権は先月中旬、安全保障法制の関連11法案を国会に提出。その後、衆院特別委員会などで議論が行われているが、与野党の議論が噛み合わず、「集団的自衛権の行使」という重要なテーマでありながら、日本を取り巻く安全保障環境の現状がどれだけ危機的状況なのか?その危機的状況を回避するために必要な安保法制を整備した場合、自衛隊員のリスク増大はどの程度のものなのか?アメリカと行動を共にすることで、反米主義を貫くテロリストやそれを支援する国が日本や日本人をテロの標的にすることはないのか?中東の危険地域などで働く邦人の心構えや危機回避のための準備は具体的にどう変わるのか?変わらないのか?といったリスクを明確にした上で、それらのリスクを上回るメリットが今回の安保法制で得られるのか?など現実に即した議論が熟していないことは明白だ。


さらに、中谷防衛大臣の「自衛隊員のリスクは高まらない」という理解不能な答弁や「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけば良いのかという議論を踏まえて、閣議決定をおこなった」と立憲主義を否定するかのような発言も加わり、国会議論の空転に拍車をかけている。


 6月初旬、憲法審査会の参考人質疑で憲法学者三人が「安全保障法制」の関連法案を、これまでの政府の憲法9条解釈からは説明できず「憲法違反」と主張したことで潮目が変わり、安保法制が日本国にとって現状必要か?そうでないか?という論点から今回の安保法制自体が合憲か違憲かに変化している。確かに憲法は国民ではなく、時の権力の暴走に歯止めをかける大きな役割がある。その観点から見ると、今回の安保法制は明らかに憲法違反であり、法案を成立させるためには憲法改正が必要なことが筋論である。憲法改正には衆参両院の総議員の三分の二以上の賛成によって発議され、国民の承認が必要で極めてハードルが高いことも事実である。仮に、日本における安全保障上の危機が間近に迫っており、憲法改正に伴うプロセスを踏む時間的な余裕がない場合、具体的な事例や可能性を挙げ国民に対し真摯に説明し、理解を得るべきである。


同時期に元自民党総裁の河野洋平氏、総理経験者で元社民党の村山富市氏、大臣経験者で元自民党の山崎拓氏、大臣経験者で現在も衆議院議員の亀井静香氏などの重鎮と呼ばれる元政治家や政治家が会見を開き、安倍政権の安保法制に纏わる国会運営に対し苦言を呈している。これら重鎮の方々の発言は戦中戦後の実体験に基づくもので、現在、政権の中枢で活躍する世代の政治家の発言よりも重みを感じる。


近年の北朝鮮問題や中国の南沙諸島での強引な手法をみると、日米同盟の更なる強化など何らかの策を講じる必要があり、集団的自衛権の行使を可能とする憲法改正に関する議論を深めていく必要がある。しかし今回の安保法制関連法案については、上記の憲法学者三名を含む大多数の憲法学者が、今回の法案に対し違憲という見解を示している以上、このままの状態で安保法制関連法案を成立させては憲法軽視、立憲主義の否定にほかならない。安倍首相がアメリカ議会で約束した期限が夏までの法案成立ということだけを理由に、今国会で数のチカラで強行採決を行う光景は絶対に見たくない。「集団的自衛権の行使」は憲法9条改正という王道を進むしか方法はない。



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